『アンナと過ごした四日間』 ~4nights with Anna~
東京国際映画祭で、『アンナと過ごした4日間』を観てきました。
コンペティション部門にノミネートされている、ポーランドのスコリモフスキ監督作品です。
人とコミュニケーションをうまくとることができない内気な中年男レオンは、向いの看護士寮に住むアンナに想いを寄せ、毎晩彼女の部屋を覗いている。着々と準備を整えたレオンは、ある晩からアンナの部屋へ忍び込み、熟睡する彼女を眺めて過ごす。。。
わたしはこの映画がとても好きでした。
なので、ぜひ日本で公開されることを望みます。
ですから、これ以上は書けないのですが、これだけだと、すごく怪しげですね。
本当は、もっといろいろな味わいを楽しめる、スゴイ映画なのですが。
まず、時系列の揃わない、しかも不安を誘うシーンが断片的に挟みこまれて、「あれはいつ起こることなのか、それとも過去の話なのか」がわからないため、想像力を掻き立てられ、常に緊張を強いられます。
また、レオンという人物が、必ずしも常識ある行動をとるとは言えないキャラクターゆえ、これから何をしようとしているのか、常にハラハラさせられます。
サスペンスのようですね。
でも、ほとんど言葉を発しないレオンの一途な想いから生まれる行動は、時に笑いを誘います。
よって、ところどころに挟まれる笑いによる弛緩が、また新たな緊張をつなぎます。
アンナの飼っている猫もハラハラの材料になるし、音楽・音響もそれに一役かっていて、笑いだけでなく美しくのどかなロケーションが弛緩の役割を果たしたりもします。
そんなわけで、わたしは、ほとんどずーっとハラハラドキドキしていて、時々クスクス笑って、終盤あたたかい気持ちになって、ラストではやや悲しい気持ちになりました。
「うまいなぁ~・・・!」とうならされる、そんな作品です。
さて・・・映画祭での楽しみは、ティーチ・イン。
今回も機会があれば質問しようかと思っていましたが、どうやら、わたしなどがしゃしゃり出る幕はなさそうでした。
というのも、不勉強なわたしたちは、失礼ながら全く存じ上げなかったのですが、スコリモフスキ監督は日本でもかなり有名で、ファンもたくさんいらっしゃるよう。しかも、この作品は監督の17年ぶりの新作。
会場はそんなスコリモフスキ監督最新作を心待ちに詰め掛けたファンでいっぱいだったのです。
そんなわけで、一人目からコアな質問が飛び交います。
(長期間映画を撮っていなかった間に俳優業もこなしていたようだが、その経験と久々の新作との関係は?とか、過去のあなたの作品にやはりアンナという名のキャラクターが登場したが今作のアンナと関連があるのか?とか、あのシーンはホッパーの絵を思わせたが?とか・・・)
うーん、何かこれでは、単純な質問したら、KYだなぁ~、などと思っていました。
で、誰か「何から着想を得たか?」を聞かないかなぁ~、とも思っていました。
ティーチ・インの時間も終わりを迎え、最後の拍手が沸き起ころうとした時、監督がそれを制して、あと一言だけ、と話し始めました。
それは、このような内容でした。
「わたしはこの作品を伴って、ヨーロッパやアメリカなど何ヶ所もまわってきました。各地でこのような質疑応答の時間を設けてきましたが、そんな中で1番よく聞かれた質問は『なぜ17年も映画を撮らなかったのか?』というもの。そして次によく聞かれたのが『何から着想を得たのか?』という質問でした。この会場ではそのことを尋ねられなかったのはよかったのですが、一応お話しておきます。数年前、わたしは新聞の片隅に小さな記事をみつけました。それは日本での事件を伝えるものでした。その事件というのが、とてもシャイな男性が想いを寄せる女性の部屋へ夜中に忍び込み、そこで数時間を過ごした、というものだったのです。」
これで会場には少しのどよめきと笑い、そして拍手が沸き起こりました。
着想については、大抵は出る質問なので、なぜ今回は誰も聞かないのだろう?とは思ったものの、ものすごく気になる、というほどではありませんでした。
そして実際に誰もそのことを尋ねなかった。
ベースになっているのが日本で実際に起こった事件ということは、日本ではそういうことが起こりえるし、起こったわけだし、何となく「ありえるでしょ」という空気がわたしたちの中にあったのだろうか、と考えてしまいました。
でもそれ以上に、レオンというキャラクターを持ってしては、あの行動は有り得る、と考えたい。
スコリモフスキ監督は、落ち着いた物腰の老紳士とみえて、内に計り知れない情熱を秘めた、とても魅力的な方でした。
さて・・・日曜日に逃した作品、リベンジ行ってこようなぁ。。。
映画祭での上映作品は全て1,000円で観られるし、この機会でしか観られない作品に出会えるかもしれないし、監督や役者さんたちの生の言葉を聞くことができたりするし、とてもおススメです。
興味を持たれた方は、ぜひ、足を運んでみてください~♪
チャンスは次の日曜日まで☆
コンペティション部門にノミネートされている、ポーランドのスコリモフスキ監督作品です。
人とコミュニケーションをうまくとることができない内気な中年男レオンは、向いの看護士寮に住むアンナに想いを寄せ、毎晩彼女の部屋を覗いている。着々と準備を整えたレオンは、ある晩からアンナの部屋へ忍び込み、熟睡する彼女を眺めて過ごす。。。
わたしはこの映画がとても好きでした。
なので、ぜひ日本で公開されることを望みます。
ですから、これ以上は書けないのですが、これだけだと、すごく怪しげですね。
本当は、もっといろいろな味わいを楽しめる、スゴイ映画なのですが。
まず、時系列の揃わない、しかも不安を誘うシーンが断片的に挟みこまれて、「あれはいつ起こることなのか、それとも過去の話なのか」がわからないため、想像力を掻き立てられ、常に緊張を強いられます。
また、レオンという人物が、必ずしも常識ある行動をとるとは言えないキャラクターゆえ、これから何をしようとしているのか、常にハラハラさせられます。
サスペンスのようですね。
でも、ほとんど言葉を発しないレオンの一途な想いから生まれる行動は、時に笑いを誘います。
よって、ところどころに挟まれる笑いによる弛緩が、また新たな緊張をつなぎます。
アンナの飼っている猫もハラハラの材料になるし、音楽・音響もそれに一役かっていて、笑いだけでなく美しくのどかなロケーションが弛緩の役割を果たしたりもします。
そんなわけで、わたしは、ほとんどずーっとハラハラドキドキしていて、時々クスクス笑って、終盤あたたかい気持ちになって、ラストではやや悲しい気持ちになりました。
「うまいなぁ~・・・!」とうならされる、そんな作品です。
さて・・・映画祭での楽しみは、ティーチ・イン。
今回も機会があれば質問しようかと思っていましたが、どうやら、わたしなどがしゃしゃり出る幕はなさそうでした。
というのも、不勉強なわたしたちは、失礼ながら全く存じ上げなかったのですが、スコリモフスキ監督は日本でもかなり有名で、ファンもたくさんいらっしゃるよう。しかも、この作品は監督の17年ぶりの新作。
会場はそんなスコリモフスキ監督最新作を心待ちに詰め掛けたファンでいっぱいだったのです。
そんなわけで、一人目からコアな質問が飛び交います。
(長期間映画を撮っていなかった間に俳優業もこなしていたようだが、その経験と久々の新作との関係は?とか、過去のあなたの作品にやはりアンナという名のキャラクターが登場したが今作のアンナと関連があるのか?とか、あのシーンはホッパーの絵を思わせたが?とか・・・)
うーん、何かこれでは、単純な質問したら、KYだなぁ~、などと思っていました。
で、誰か「何から着想を得たか?」を聞かないかなぁ~、とも思っていました。
ティーチ・インの時間も終わりを迎え、最後の拍手が沸き起ころうとした時、監督がそれを制して、あと一言だけ、と話し始めました。
それは、このような内容でした。
「わたしはこの作品を伴って、ヨーロッパやアメリカなど何ヶ所もまわってきました。各地でこのような質疑応答の時間を設けてきましたが、そんな中で1番よく聞かれた質問は『なぜ17年も映画を撮らなかったのか?』というもの。そして次によく聞かれたのが『何から着想を得たのか?』という質問でした。この会場ではそのことを尋ねられなかったのはよかったのですが、一応お話しておきます。数年前、わたしは新聞の片隅に小さな記事をみつけました。それは日本での事件を伝えるものでした。その事件というのが、とてもシャイな男性が想いを寄せる女性の部屋へ夜中に忍び込み、そこで数時間を過ごした、というものだったのです。」
これで会場には少しのどよめきと笑い、そして拍手が沸き起こりました。
着想については、大抵は出る質問なので、なぜ今回は誰も聞かないのだろう?とは思ったものの、ものすごく気になる、というほどではありませんでした。
そして実際に誰もそのことを尋ねなかった。
ベースになっているのが日本で実際に起こった事件ということは、日本ではそういうことが起こりえるし、起こったわけだし、何となく「ありえるでしょ」という空気がわたしたちの中にあったのだろうか、と考えてしまいました。
でもそれ以上に、レオンというキャラクターを持ってしては、あの行動は有り得る、と考えたい。
スコリモフスキ監督は、落ち着いた物腰の老紳士とみえて、内に計り知れない情熱を秘めた、とても魅力的な方でした。
さて・・・日曜日に逃した作品、リベンジ行ってこようなぁ。。。
映画祭での上映作品は全て1,000円で観られるし、この機会でしか観られない作品に出会えるかもしれないし、監督や役者さんたちの生の言葉を聞くことができたりするし、とてもおススメです。
興味を持たれた方は、ぜひ、足を運んでみてください~♪
チャンスは次の日曜日まで☆
by chiemhana
| 2008-10-21 18:23
| 映画