伊坂幸太郎の本『チルドレン』&初期3作品
このところ、伊坂幸太郎に取り組んでいました。
以前から気になりつつも今まで手を出さなかったのは、字は違えど取引先に同姓同名の方がいらっしゃって、何となく違和感があったから。(って、どういう理由?)
もし、もっと若い、学生の頃にでも読んでいたら、すごくはまってしまったかもしれません。
今の学生たちからすると、わたしたちにとっての村上春樹のような存在の作家さんなのかな。
伊坂氏とはわたしは同年代なので、素直にはまることのできない照れのようなものもあります。
ほぼ連続して、4つの作品を読みました。
チルドレン
を読んで面白かったので、
とりあえず最初に戻って
オーデュボンの祈り
ちょっと熱が上がった状態でラッシュライフ
少し冷めかかったものの、とりあえず続けようってことで重力ピエロ
・・・すみません。文庫化されているもののみです。
どれも、どういうジャンルに属するのかわからないような作品。
そして、どの作品も違った趣を持っている。全部違うジャンルなのではないかと感じられるくらい。
しかし、すべてに共通していることがある。
多分、乱暴に言ってしまえば、「勧善懲悪」だと思う。
『チルドレン』は例外として、他の3作では、悪は徹底的な、情状酌量の余地のない、完璧な悪として描かれていて、それが現実世界につながるようなリアリティを持っているため、読みながら絶望感さえ味わってしまう。
けれども、あっと(ほんとうに「あっ」と声を上げてしまいそうなくらいの)驚く展開で、それらの悪が相応の報いを受ける。
これは痛快です。
ここにはある倫理観が反映されていて、それはおそらく著者のものなのだろうけれど、それにわたしは賛同しているのだと思う。
大多数の伊坂作品の読者は、その倫理観に賛同しているのでしょう。
でもそれはかなり生理的な感覚に近い、倫理観だと思う。
つまり、現代社会では受け入れられない類の。(でも皆の心の底にあるような)
言葉にして現してしまうと、言いすぎ、とか、極論だとかに値するので、あえて明言はしないでおきます。
でも、「悪を憎んで人を憎まず」のような考えも、誰しもの中にあると思うのです。
自分だって、間違いを犯すことはあるし、良かれと思ってしたことが裏目にでることもある。悪いことをした人が、救いようの無い悪人ってケースはかなり稀だと思うし。
そこで『チルドレン』はかなりの緩衝材になっているような気がする。
というより、ここで描かれるのは、悪を大きく育てないようにする話ではないでしょうか。
何だかよくわからなくなってきましたが、伊坂作品は、それぞれが1つで成り立つ絵でありながら、組み合わせるともっと大きな絵になるような気がします。
そんなわけで、おそらくこれからも読んでしまうだろうな。(文庫化されたらね。)
何より、「読ませる」のです。
東野圭吾のようにスピード感はないものの、ついつい読み接いでしまう。
登場人物たちが魅力的で、ディテールが洒落ていて、そしてたくさんの仕掛けがあるから。
以前から気になりつつも今まで手を出さなかったのは、字は違えど取引先に同姓同名の方がいらっしゃって、何となく違和感があったから。(って、どういう理由?)
もし、もっと若い、学生の頃にでも読んでいたら、すごくはまってしまったかもしれません。
今の学生たちからすると、わたしたちにとっての村上春樹のような存在の作家さんなのかな。
伊坂氏とはわたしは同年代なので、素直にはまることのできない照れのようなものもあります。
ほぼ連続して、4つの作品を読みました。
チルドレン
を読んで面白かったので、
とりあえず最初に戻って
オーデュボンの祈り
ちょっと熱が上がった状態でラッシュライフ
少し冷めかかったものの、とりあえず続けようってことで重力ピエロ
・・・すみません。文庫化されているもののみです。
どれも、どういうジャンルに属するのかわからないような作品。
そして、どの作品も違った趣を持っている。全部違うジャンルなのではないかと感じられるくらい。
しかし、すべてに共通していることがある。
多分、乱暴に言ってしまえば、「勧善懲悪」だと思う。
『チルドレン』は例外として、他の3作では、悪は徹底的な、情状酌量の余地のない、完璧な悪として描かれていて、それが現実世界につながるようなリアリティを持っているため、読みながら絶望感さえ味わってしまう。
けれども、あっと(ほんとうに「あっ」と声を上げてしまいそうなくらいの)驚く展開で、それらの悪が相応の報いを受ける。
これは痛快です。
ここにはある倫理観が反映されていて、それはおそらく著者のものなのだろうけれど、それにわたしは賛同しているのだと思う。
大多数の伊坂作品の読者は、その倫理観に賛同しているのでしょう。
でもそれはかなり生理的な感覚に近い、倫理観だと思う。
つまり、現代社会では受け入れられない類の。(でも皆の心の底にあるような)
言葉にして現してしまうと、言いすぎ、とか、極論だとかに値するので、あえて明言はしないでおきます。
でも、「悪を憎んで人を憎まず」のような考えも、誰しもの中にあると思うのです。
自分だって、間違いを犯すことはあるし、良かれと思ってしたことが裏目にでることもある。悪いことをした人が、救いようの無い悪人ってケースはかなり稀だと思うし。
そこで『チルドレン』はかなりの緩衝材になっているような気がする。
というより、ここで描かれるのは、悪を大きく育てないようにする話ではないでしょうか。
何だかよくわからなくなってきましたが、伊坂作品は、それぞれが1つで成り立つ絵でありながら、組み合わせるともっと大きな絵になるような気がします。
そんなわけで、おそらくこれからも読んでしまうだろうな。(文庫化されたらね。)
何より、「読ませる」のです。
東野圭吾のようにスピード感はないものの、ついつい読み接いでしまう。
登場人物たちが魅力的で、ディテールが洒落ていて、そしてたくさんの仕掛けがあるから。
by chiemhana
| 2007-07-28 13:36
| 本