本や映画、食べ物、ヨガのことなどなど・・・心にピンときた、いろいろのものについて思ったことを書いています
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映画『春の雪』

カメラワークがすばらしいとか、時代を映したセットや衣装などの小道具が美しいとか、いろいろ前評判は聞いていましたが、あの長編小説をどうダイジェストにみせるのか、というのが正直わたしの一番の関心ごとでした。
小説では中盤を過ぎたころに明かされる、この悲劇を生む種、それは汚らしい大人のエゴなのですが、それが映画冒頭に描かれます。
なるほど。こうしてコンパクトにまとめていくのね、とはじめは感心しましたが、直後はのんびりと原作の一部をほぼ忠実に描く、といった具合。その後もうんと凝縮して描く部分と、じっくりと再現するような部分が交互に入り混じります。
でも、そのバランスにやや違和感が。「あれを凝縮したんだから、こっちももっと縮めれば良いのに」とか、「それこそじっくり描いてくれればいいのに」という具合。

でもこういう感じ方は、原作を読んでいて、そちらに寄り添いすぎている自分のスタンスのせいかもしれません。いっそのことこれだけ設定が変えられているのだから(些細なこととも思えますが、ある意味では物語の根本を揺るがすような変更があります)、原作とは別物としてみれば良いんだ、と途中割り切ってみました。

そうすると、そうしたで、また気になるところがでてくるのです。
宮家との縁組が決まってしまった聡子に、清顕はなぜあれほどの執着をみせるのか。そうなる前になぜ少しでも手を打たなかったのか。そのあたり(清顕の心情や考え)が、映画の描き方では伝わりにくいのではないだろうか、という心配。
実際に原作を知らずにみた夫に確認したところ、「ただ子どもだから。ただ欲望ゆえ。」という解釈。それじゃあ「純愛」とは言えないじゃない。(原作でも「純愛」とは言いづらいけれども、もっと複雑な青年心理があるわけです。)
そしてこれは、夫からの指摘だったのですが、清顕の夢日記にどのような意味があったのかわからなかった、というのです。
原作では、清顕の夢は複雑で彼の心理や状況を象徴するものとして度々描かれ、夢日記に記されていきます。そしてその夢日記は本多に託されるのです。それは第二部へとつながる伏線になると思われます。映画では第二部へのつながりは全く排除されていると見受けられましたので、夢日記も排除するか、もしくは別の意味を持たせたらよかったかもしれない、と思えます。

でも、(このへんで褒めておこう)清顕の夢はよかったと思います。原作とは違うものの、夢が象徴するもの、夢の与える影響、という描き方は「巧い!」と思いました。
それから、小倉百人一首の使い方も、良かったかも。小倉百人一首は原作にも登場しますが、それとは違った使い方でうまく二人を結び付けていると思いました。

さて、キャストについて。
妻夫木聡は好きですが、手放しでは褒められませんでした。
何が?品でしょうか。公爵家の息子としての品。それがない。幼少時に雅を身に付けた物憂げな青年には見えませんでした。それと情熱。禁を犯しても聡子を得たいと願う情熱が感じられなかったです。すねたり不貞腐れた表情はいいです。(それが子どもっぽさを強調したかも。)押し殺した怒りも。でも、逆にもっと微細な感情の襞がみえませんでした。
そして竹内結子。ドラマなど現代劇でみる彼女はとても魅力的です。でも正直に言って、「とても美しい女性」として描かれている聡子、には見えませんでした。
でも、目の表情や声の使い方、せりふに込められた感情表現はすばらしかったです。
清顕との愛に全人生をかけている、でもその激情は胸にしまっている。そんなふうに見えました。
一番のはまり役は、榎木孝明の松枝公爵。ばっちりはまっていました。金も権力も不自由なく持ち合わせ、野心に満ちた成り上がり貴族の二代目である清顕の父。それらしいシーンはありませんでしたが、女遊びにも長け、「わが世の春」と人生を味わいつくしている、そんな人物に見えました。
そして、若尾文子の月修寺門跡。ほのかな色香を奥底にひそめつつ、今はすっかり俗世を捨て、聡子の心の救済を手伝う最後の拠り所として、これまたばっちりはまっていました。

それにしても、若い監督を起用して、お金をかけて、こういう作品を作ることにはどちらかと言えば賛成。
今は日本映画に勢いがあって、感性豊かなPOPな作品が多いけれども、こういう重厚な趣を持った日本独特の世界を描いた作品も、どんどん作って欲しいと思います。そして、魅力的なキャスティングをして、日本の若い人たちにも、海外でも(今回も釜山の映画祭で熱烈な歓迎を受けたようですが、あわせて日本の文化も)みてもらう、というのはとても素敵な現象だと思います。
この作品は大正時代が舞台でしたが、当時の社会風俗について、若い人たちは理解できるのかなぁと思うのです。(「勅許」とか「遊郭」とか、夫でさえもよくわかっていなかったので。)もっと普通にこういう作品に触れて、馴染んでほしいと思います。
それはわたしたちのルーツでもあるのですから・・・。
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by chiemhana | 2005-11-07 17:09 | 映画